INDIA取材同行雑記-8 氏神の寺院

2008 AUG 17
 Chennai(チェンナイ)より南西におよそ360km,夜行列車の目的地Erode。
 到着前に,車窓から黎明の風景など撮っておきたいと考えてたが,乗務員の男が起きろと促して歩いてるのに気付いた時には既に到着していた。予定より大幅に早い。
 波のようにやってくる腹痛を我慢しながら荷物をまとめる。どうも前日のランチのあたりが怪しい。それまでの好調を理由に調子に乗って食いすぎた自覚がある。ヨーグルト系のヤツか或いはアイスクリームか…。
 冷房が強すぎて眠りが浅かったのも追い討ちをかけ,もうろうとしながら荷物を引きずって駅を出る。

 陽のあがりきらない空は,Chennai同様湿度が高いのか白く霞んでいる。
 Chennaiに比べ,この内陸の町は緩やかに起伏が見られ,そこに住宅と思しき建物が広がっていて,ゆったりとした印象。交通量も多くはないので道路自体も広々して見えるが,クラクションはこちらも変わらずうるさい。

 駅前からタクシーに乗り,一旦宿にチェックイン。室内は明るく,清潔そうなベッドがありがたい。速攻便所へ。
 用を足した後も波が断続的にやってきては苦しめてくれるが,我慢可能な程度であるのが幸いだ。
 Mr.Ravindranに促されて朝食をとテーブルに着くも,これより先しばらくはあっさりしたものを少量しか摂れなくなった。ヤワな腹だな。

 本日午前はErode郊外,Ramanujanゆかりの地へ。陽が上がると空は幾分白めながら陽射しは強い。
 色鮮やかな装飾がほどこされた急峻な四角錐の屋根が特徴的なヒンドゥーの寺院,南国ぽい色合いが連なる住宅街。
 その一角にある住宅を訪れ取材。英語力不足のため何を言ってるのかは分からない。
 家を出て気もそぞろに撮影してたら牛のウンチ踏んでガックリ。ズボンの裾にまでこびりついたそれにショックを受けながら,とりあえず砂でゴシゴシ。
 
 住宅地を外れると,水田?の向こうにヤシの木を縫うように川がゆったりと流れ,肥沃そうな平原が緩やかに広がっている。その見渡す限りの平原にはぽつんぽつんと鍋を裏返したような岩山が点在していて,車窓から眺めるそれは,近づいてみるとほぼ例外なく山頂部に寺院があるようである。その寺院云々よりも,その異様な岩盤の形成過程のほうがよっぽど興味津々であった。

 途中立ち寄った,二つの河が合流する地点に建つ寺院。川岸に綺麗に石段が組まれ,たくさんの人が水浴びをしている。神事のひとつなんだろうと思う。あまり綺麗な水には見えないが,なんせ暑いんで気持ち良さそ〜。

 宿に戻り,一室に大学の先生を招いて取材。
 終了後ゆっくりできるかと思いきや,本日の宿泊はここではなかったのね。ささと荷物をまとめて出発。Namakkalを経てErodeより南東におよそ140kmの町Trichyへ。

 宿を出てすぐ,街なかを普通に象が歩いてるのに出くわして興奮していたら,タクシーの運転手が助手席のMr.Ravindranに向かって「中国人か?」と問うていた。なんでだよ。滅多に外国人に出くわさない南インド,黄色い人間と言えばChineseなのかもしれない。

 Namakkalへ向かう途中にも巨大な岩山が点在,平原の中にあるため遠方からも視認でき,異様な迫力がある。上にあがってみたい。

 経由地のNamakkalに到着したのは陽が西に傾き始めるころ。
 たくさんの車や人でごった返す街の中心部には,今まで見たものより滑らかでつるっとした立派な岩山があり,広い山頂部はぐるっと城壁の様なもので囲われている。この岩山の西の麓にRamanujanの氏神が祭られた寺院,NARASHIMHA SAWMY TEMPLE。

 寺院前の参道?両側には種々の商店が建ち並び,立派な石組の寺院の門へと導かれる。
 入口で靴を脱がされ入った寺院内には,つるっとした巨大な岩山の壁を背景に,いくつかの建物が配置され,そのうちの一つ,女神様の神殿?に通されると祈祷を受ける模様。撮影禁止。

 薄暗く奥行きのある細長い室内の両脇に,ずらりと祈祷を受ける?方々が十数人並び,最奥に神様が祭られ,祈祷師?がムニャムニャ。
 ただでさえ暑いのに,洞窟の様な石に囲まれた狭い室内で火が焚かれサウナ状態だが,テレビや映画でしか見たことのないような古代の遺跡ちっくな空間に圧倒されて,暑さもほとんど気にならない(半分ウソ)。

 祈祷師が器に入った透明な液体とカレー粉みたいな粉を持って皆の前を回り,各々額にペタペタとやっている。なんのこっちゃ分からんが見様見真似でやってみたら,油のように見えた液体は単に水の様である。これやってるとなんだかIndianの仲間になれたような気がしないでもない。
 そしてムニャムニャ言ってるのをしばらく聞いて終了,室外へ。ぅう〜んエキゾチック。多分,もの凄く貴重な体験。

 寺院内をぐりっと見て回り,外に出る頃にはすっかり日も落ちてトワイライトな街が美しく,なんだか同じ地球上とは思えないような感覚がとっても楽しい。しかし道端に落ちてる牛等のウンチには要注意だ。
 NARASHIMHA SAWMY TEMPLEにて本日の日程終了,南東におよそ85kmの町,Tiruchirapalli(Trichy)へ。
 日の暮れた郊外の道路で気づいたのは,例えば「抜くよ」とか「近づいてるぞ」等の合図は,昼のクラクションに対して,パッシングがメイン。のような気がした。うるさくないのでこの方がマシ。
 しかし戸惑ったのは対向車。ロービームだった対向車が,接近すると何故かハイビームにしてくれちゃって眩しくて仕方がない。ほとんどがそうだったので,多分そういうローカルルールなんだと思う。
 ところでこっちの冷房ってどこにいても強烈。この車も寒いくらいにガンガン冷やしてくれてんので,寒いねと言うといきなりOFF。すぐに蒸してきたが,暑いと言えばまたMAX。温度調整や風量調整を使う気は無いみたいだ。

 そうこうしているうちに,稲光が平原のあちこちで瞬き始める。一瞬照らし出される平原の向こう,我々の進行方向に分厚い真っ黒な雲が立ち上がっている。そんな雲の下の向かっていくのは憂鬱だなと思っているうちに,バケツをひっくり返したような豪雨と雷の中へ。車に乗ってるだけだから別にいいんだけど。

 Namakkalから4時間ほど,土砂降りのTrichyの宿へ。
 Chennaiでの最初の宿と同程度の金額らしいが,あまりの清潔さと広さと美しさに感動しまくって,早速牛のウンチがついたズボンを洗濯した。ダニのいないベッドは嬉しい。

-Indianの仕草ワンポイント-

 相手に対して理解,或いは同意を示す動作。
 日本が縦にうなずくのに対し,こちらでは横に無限大のマーク(∞)のような動き。慣れないうちは,うーんそりゃ困ったナみたいに思われてんのかと不安に感じてしまうが,実はまったくNo Problem。この動き,慣れてみれば非常にフワッと肩の力の抜けた印象が馴染みやすい。