INDIA取材同行雑記-9 帰国後知った世界遺産

2008 AUG 18
 Trichyの広く快適な宿で爆睡した翌日は,東北東に約90km,Ramanujanの生家と母校のあるKumbakonamへ。
 前夜の雨は未明までにあがったようだが,じっとりと汗ばむ湿気の多い白く霞んだ空模様。すっきりと青空にはならんのかね。
 人と二輪車がごった返す街を抜け,砂塵舞う郊外の道へ。
 いつものとおり強烈な冷房のおかげで車内にいる限り外の蒸し暑さとは無縁。

 経由地のThanjavurに入り,跨線橋の上に差し掛かるとちょっとした見晴らし。左手(北方)にひと際巨大なヒンドゥの寺院が現れ,しばし目が釘付け。
 跨線橋を下るとその寺院沿いに道は続き,ぐるりと張り巡らされた石組の城壁(?)と正門の威容に車窓からかぶりつき。わー見てー,と呟いてたら,帰りに寄るんだと佐久間さん。やた!

 街を過ぎるとまたしばらくはのどかな風景。
 他の交通に混ざって牛車もぱかぱか。速いんですヨ,馬のように駆け足。白いスリムな体に伸びっぱなしの角が迫力。なんで角に色塗ってあんだろう。

 うとうとしてきた頃Kumbakonamに入った。
 やや白っぽい青空だが陽射しは強烈。厳しい暑さながら,青空てのは気分が良い。
 車を降りてまずはRamanujanの生家訪問。
 店がひしめき合う通りに面した建物の一角に,明るいクリーム色の外壁に赤茶けた瓦屋根,水色の柱がシンプルで美しい建物。室内にはRamanujanに関する資料が展示されていた。
 間口は狭いが奥行きのある間取りを奥に進むと,裏手に井戸のあるこじんまりとした中庭。表の喧噪とかけ離れた空間が,ちょっと時間が止まったようで心地よかった。
 夢中になって撮ってたら,管理人が「連れはみんな出てったぞ」(と言ってたと思う)と急かしにきたので,ちょっと待ってくれと慌ててもう数枚。
 礼を言って中庭から戻ろうとした際,やたら低い扉の枠(身長ほども無い)に頭をガツンとぶっつけて,大丈夫かと心配されたがNo Problem。基本的にアクシデントの痛みは後からやってくるものだ。

 Ramanujanの生家を後にして次は母校関連。
 はじめに訪れたのは,どうも小学校入学前の子供たちが通うらしい施設。緑の生い茂る敷地の門に何か書いてあるが,(たぶん)タミル語なので全く分からない。
 建物に入ると先生と数人の子供たち。
 外国人が珍しいらしく,興味津津で近寄ってくるが,何か(日本語で)一言二言話すたびにきゃあきゃあと興奮して駈け出したり,口真似してみたりと,とにかく屈託がなくてめんこい。みんながみんな目がくりくりしてる。

 続いてTown Higher Secondary Schoolへ。
 校門を入ると,前庭にいたたくさんの制服姿の生徒たちがこちらに気づいて集まってくる。
 ここでクライアントに集まる生徒たちの様子を撮ろうとカメラを出したのが運の尽き。瞬く間にカメラに興奮した生徒たちに囲まれ,腕やら服やらバッグやらを引っ張られまくってにっちもさっちもいかなくなり,立ち往生。
 していたら,騒ぎに気づいた先生が出てきて「コラてめーら!」(と言ってるかどうかは分からないがそんな感じで)一喝,くもの子散らすように散開した。
 めんこいが,体が大きくなると大変だ。
 学校での取材を終え,本屋に寄った後はKumbakonamを後にし,Thanjavurへ戻る。

 まずはSARASVATI MAHAL LIBRARYと,巨大なBELL TOWER(鐘楼)が印象的なART GALLERYへ。
 ART GALLERYでは,ヒンドゥの寺院に似たとにかく立派な建物の外観に目を奪われて皆に後れをとり,何一つ説明を聞けずに(聞いても英語力不足で分からないだろうけど)終わってしまった。

 続いて本命,往路でかぶりつきだったヒンドゥの寺院Pratheeswar temple(Brihadisvara Temple)へ。
 門をくぐるともひとつ巨大な門。いずれも非常に装飾が美しい。その大きさに圧倒されながらくぐった先には,次の門(これもまたでかい)まで広く開けたスペースになっている。象と象使い(?)がいたが,何をしているのかは分からない。観光客向け(?)

 これより先は靴を預かってもらって裸足に。
 そして最後の巨大な門をくぐると,パッと視界が広がり,ゆったりとした広大なスペースの奥に超巨大な本殿。街で見た寺院のようなカラフルな装飾は無く,土色一色。まるで古代の遺跡のようだ。
 敷地内は塀に沿って芝生が敷かれ,美しい庭園の佇まい。なんだかこの世のものとは思えない世界に,ほぁーと口あんぐり。くそー白い空が残念だ。

 広大な敷地内を本殿中心にぐるり一周。
 皆をお待たせしながらのろのろと歩いていたら,本殿入口付近でMr.Ravindran,あとで撮れるからまず中に入ろうとのこと。
 どうやら本殿内でご祈祷(?)を受けるらしい。いつもの如く撮影禁止。
 前日のNamakkalのNARASHIMHA SAWMY TEMPLEでの時と同様,御本尊様の置かれた石に囲まれた洞窟みたいな室内で火が焚かれ,やっぱりここもサウナでしたヨ。周囲の人の真似をして祈祷師のムニャムニャ言うご祈祷を受けた。またしてもとっても貴重な体験。
 ご祈祷後,シャワーを浴びたような汗を流しながら屋外に出ると,暑いはずの空気に涼しさを感じた。

 預けていた靴を受け取る頃には薄暮の情景。
 振り返るとトワイライトの空の下,寺院の各所がライトアップされ,これから空が黒くなるまで(撮影的に)お祭りだ♪と俄然テンションが上がってきた。
 が,それもつかの間,もう帰るんですと。無念。ここは是非数日間にわたって撮りたいとこだナ。また来たい(と,INDIAで初めて思った)。
 ここが世界遺産であることは帰国後知った。道理で。
 予習は大事だな。

 Trichyに戻って荷物をまとめ,Chennai行きの夜行列車に乗る。
 Mr.Ravindranが買い出していたカレーで夜食。ウマッ。腹の調子も回復してきてたんでありがたい。
 品の良い老夫婦と相席だったが,昔サラリーマンだった頃の上司に似ていて妙に親近感が。

 んで寝台だが,二日前に乗った夜行が二段ベッドだったのに対し,こちらは三段。室内の高さ自体は変わらないからとても狭い。一段あたりの高さが座高ほどしかないから這うしかない。寝てしまえば関係ないけど。
 ハードな内陸の旅であった(腹の調子が悪かったせいかも)。